フォーマルスーツとは? 種類や冠婚葬祭時の着用マナーも解説

23.09.26

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フォーマルスーツとは? 種類や冠婚葬祭時の着用マナーも解説

婚式や葬式など、フォーマルなシーンで着用する装いにはさまざまなマナーがあります。フォーマルスーツは格式の高い場所での礼装に欠かせないスーツです。立場によって着用するフォーマルスーツの種類が異なるため、知識を身につけておかなければマナー違反になりかねません。

この記事ではフォーマルスーツの種類や冠婚葬祭時のマナーについて解説します。フォーマルスーツについてのマナーは社会人としての常識のひとつになるため、このタイミングで身につけておきましょう。

1.フォーマルスーツとは

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冠婚葬祭や式典など、格式の高いシーンで着用するスーツがフォーマルスーツです。フォーマルには正式や儀礼的といった意味があり、適切な場所で正しい装いをするためのスーツと捉えられます。

フォーマルスーツには正礼装、準礼装、略礼装の3種類があり、それぞれの礼装はさらに細かく分けられます。立場やシーンによって使い分ける必要があり、正しい着こなしをすることで、格式の高い式に適した装いになります。

1-1.フォーマルスーツの着用シーン

フォーマルスーツは親授式や晩餐会、受賞式や記念式典などの格式の高い式典で着用します。また、パーティーや音楽会、ディナーショーなどフォーマルな装いが求められる催し物でも、ドレスコードとしてフォーマルスーツが選ばれます。結婚式や披露宴、葬式などの冠婚葬祭もフォーマルスーツを着用するシーンのひとつです。

1-2.フォーマルスーツとビジネススーツの違い

フォーマルスーツとビジネススーツは似て非なるものです。両者の違いを明確に理解できれば、マナー違反にならない装いを自然と意識できるようになります。ビジネススーツは、日常の仕事の際に着用するスーツです。就活における入社面接や仕事での商談など、ビジネスの幅広い用途に使用されます。

ビジネススーツはカジュアルなシーンでも着用できるようさまざまな色味のものがありますが、ブラックなどのダークカラーでツヤのあるものであれば、結婚式などフォーマルな場所でも着用が可能になります。ブラックよりさらに深みのある漆黒かつツヤがないデザインであれば、葬式で着用してもマナー違反となりません。一方フォーマルスーツは冠婚葬祭などで着用し、基本的には日常利用することはありません。

上述のとおり、冠婚葬祭の出席にビジネススーツを着用することは問題視されませんが、本来であればフォーマルスーツを着用するのがマナーとなります。ただし、時代の変化や価値観が多様化したことで、自由でカジュアルな面が許容されているため、必ずしもフォーマルスーツを着用しなければならないわけではありません。

結婚式などでは、ゲストはビジネススーツ、親族はフォーマルスーツというケースも多いです。格式が求められる場では正装としてフォーマルスーツを着用します。

2.フォーマルスーツの種類

フォーマルスーツは、正礼装・準礼装・略礼装に分かれます。

2-1.正礼装

もっとも格式の高いフォーマルスーツです。

モーニング

昼間に着用するフォーマルスーツの中で、もっとも格式の高いスーツです。結婚式では新郎や新郎・新婦の父親、授章式における受章者などが着用します。モーニングには立ち衿のウイングカラーのシャツ、グレーのベスト、縦縞のパンツを合わせるのが基本的な組み合わせです。

ジャケットは後ろの裾が燕の尾のような形をしており、ジャケットのフロント部分は流れるように後ろの裾へつながる形状が特徴的です。ほかの正礼装にみられるジャケット衿のハイケン地はありません。ネクタイは白黒のストライプが入ったコールタイ、もしくは幅広でボリュームのあるアスコットタイを身につけます。スラックスはグレーの縦縞があしらわれています。

燕尾服(イブニング)

夜間に着用するフォーマルスーツのなかで、もっとも格式の高いスーツです。モーニングと同様に立ち衿のあるウイングカラーのシャツ、ホワイトのベスト、ブラックのスラックスを合わせます。燕尾服は後ろの裾が燕の尾のような形をしている点が特徴的で、ジャケットのフロントの丈は短く、四角にカットされています。

ジャケットの衿にはハイケン地と呼ばれる絹地が重ねられており、フロントに6つの釦が配列されています。スラックスには1本、もしくは2本の側章があしらわれています。燕尾服はホワイトタイと呼ばれる白い蝶ネクタイを合わせ、装飾品もパールなど白いものを選びます。

タキシード

夜間に着用するフォーマルスーツです。燕尾服を簡略化したスーツがタキシードであるため、燕尾服よりも格式が下と見られるケースもあります。ただし、国際プロトコルでは正装に位置しているため、正礼装に該当します。

ウイングカラーのシャツ、ジャケットと同じ生地のベスト、ブラックのスラックスを合わせるのが基本的な着こなしです。ジャケットの後ろの裾は水平に型取られており、衿にはハイケン地があしらわれています。

スラックスには1本の側章が添えられます。燕尾服にホワイトタイを合わせる一方で、タキシードには黒い蝶ネクタイであるブラックタイを合わせ、装飾品も黒で統一します。

2-3.準礼装

フォーマルとカジュアルの中間に位置するフォーマルスーツです。ディレクタースーツとブラックスーツが該当します。ディレクターズスーツはブラックのジャケット、シルバーのベスト、ブラック×グレーのストライプスラックスを合わせます。

結婚式では、親族や主賓、上司などがディレクターズスーツを着用します。昼はディレクターズスーツ、夜はタキシードといった組み合わせで、それぞれのシーンで着用する衣服を分けるケースもあります。ブラックスーツは、冠婚葬祭での着用を想定したスーツです。

ビジネススーツに使われる一般的な黒よりも色合いが深い漆黒、ツヤのない生地が採用されます。結婚式では親族や主賓、上司が着用し、葬式などでは参列者が着用します。

2-4.略礼装

最もカジュアルよりのフォーマルスーツです。ダークスーツとも呼ばれ、結婚式やパーティーのゲストが着用し、昼夜問わずフォーマルな装いができる着まわししやすいスーツです。ビジネススーツと区別するために、着こなしにこだわり装飾品などを身につけます。

3.フォーマルスーツの選び方

生地の色や素材、着用のタイミングなどを考慮して選びます。

3-1.生地の色で選ぶ

フォーマルな印象にするために、深みのある黒を選ぶのが基本です。色が深いほど格式の高さが現れ、反対に色が薄いとカジュアル寄りになってしまいます。薄い色を選ぶと、まわりの方の漆黒に比べて色が浮いてしまい、エレガントな雰囲気を表現できなくなる恐れがあります。複数の生地を見比べて、より色味の深いものを選びましょう。

3-2.生地の素材で選ぶ

ウール100%の素材を選ぶのが基本です。なぜなら、ウールは艶が出にくいため、漆黒に深みが出て気品の高さを表現できるからです。生地の素材にポリエステルなどが混じっていると、光沢が出てしまうため、カジュアルな雰囲気になります。

3-3.着用シーズンで選ぶ

フォーマルスーツをはじめて購入する方、フォーマルスーツの着用頻度が低い方はオールシーズンのスーツがおすすめです。季節を問わない素材で仕立ててあるため、暑さにも寒さにも適応できるからです。複数のフォーマルスーツを揃える場合は、シーズンごとに分けて素材選びをします。

3-4.着用期間で選ぶ

フォーマルスーツはほかのスーツと比べて着用頻度が低いため、長い期間着用可能なデザインを選びます。近年はタイトなサイズ感が人気ではありますが、流行ものはトレンドが終了すると着られなくなってしまうため、オーソドックスなデザインが推奨されます。

3-5.サイズで選ぶ

歳を重ねると体型は変化しやすくなるため、体型の変化にも適応できるよう、ゆとりのあるサイズを選ぶのがポイントです。ただし、流行や今の自分の体型に合わせたスリムなサイズを選びたい方もいるため、のちに体型の変化でサイズが合わなくなれば、お直しで調整します。

4.フォーマルスーツのシーン別着用マナー

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フォーマルスーツの着用マナーをシーン別に紹介します。

4-1.結婚式でのマナー

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門出をお祝いするための気品のある装いが求められます。立場に合わせたコーディネートを行いましょう。

スーツ

新郎や新郎新婦の父親は正礼装のモーニングや燕尾服、親族や主賓は準礼装のディレクタースーツやタキシード、ゲストはブラックスーツやダークスーツを着用するのが結婚式での着用マナーです。会場の格式の高さや新郎新婦との関係性で柔軟に対応できる準備をしておくことが大切です。

ワイシャツ

結婚式では白色の無地のワイシャツを選びます。夏場は半袖のワイシャツの方も多いですが、式では長袖を着用します。衿は一般的なレギュラーカラーと立ち衿であるウイングカラーがあり、ウイングカラーのワイシャツはブラックスーツやディレクタースーツ、正礼装で着用します。

ベスト(ジレ)

モーニングではジャケットと同じ生地で衿付きのもの、燕尾服では白色のピケ織生地のジレを着用します。タキシードの場合は黒色のものを着用すると、格式が高くなります。

ネクタイ

新郎新婦に近しい親族などは白色のネクタイを着用します。ゲストなどは親族と被らないようシルバーのネクタイを選びましょう。葬式で使う黒いネクタイや目立ちすぎるデザインはマナー違反になるため避けます。正礼装の燕尾服では白い蝶ネクタイ、タキシードには黒い蝶ネクタイを合わせます。

ポケットチーフ、カフス

ポケットチーフは気品を感じられるリネン素材がおすすめです。スリーピークスなどキレイに見えるよう折り返しをしてからポケットに入れるのがポイントです。カフスは袖口をオシャレに魅せる小物のことで、ワイシャツの袖口が折り返せるダブルカフスの場合は必ずカフスを着用します。

ベルト

靴と同じ黒色のベルトを選びます。サイズが合わないと揺れてだらしなく見えるため注意しましょう。

靴・靴下

結婚式で着用する靴は、紐のある黒い革靴で、形はプレーントゥもしくはストレートチップを選びます。ブーツや柄のあるものは華美になるため避けます。靴下は黒色、足を組んでも素足が見えない長さのものだと清潔感があります。

4-2.葬式でのマナー

遺族に失礼のない慎ましい装いが求められます。

スーツ

参列者はブラックスーツを着用し、光沢のない漆黒のものを選びます。葬式でのダークカラーのスーツはNGで、着用するとすれば法事などになります。

ワイシャツ

白無地のワイシャツを着用するのが葬式でのマナーです。急な訃報の場合は柄が入っていても許容されることもありますが、イレギュラーなシーンに対応できるよう職場に用意しておくのもひとつの手段です。

ネクタイ

ネクタイは黒を選び、黒以外はNGと考えておきます。光沢のない生地を選ぶと慎ましい雰囲気になります。結び方も一般的な方法を選び、オシャレな要素は取り入れないよう注意します。

ベルト

靴と同じ黒色で、革素材で光沢のないものを着用します。

靴・靴下

光沢のない黒を選び、金具などの装飾は避けてください。靴下も靴と同じ色を選び、素肌が見えない長さのものを着用するのがマナーです。

アクセサリーは慎む

葬式は故人との時間を過ごす大切な時間です。派手なアクセサリーの着用はマナー違反となります。また、ネクタイピンやカフスの着用も避けましょう。

まとめ

フォーマルスーツは結婚式や葬式には欠かせない装いです。立場によって着用すべきフォーマルスーツの種類が異なり、着用するシーンによってワイシャツの形やネクタイの色を使い分ける必要があります。間違った着こなしをすると、見た目はキレイになってもマナー違反と捉えられる恐れもあります。

記事内でご紹介した着用マナーを参考に、場所と立場を踏まえた正しい装いを意識しましょう。社会人になると急ぎでフォーマルスーツが必要になるケースもあるため、一着用意しておくだけでも心の余裕になるはずです。

この記事を書いた人
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2006年に株式会社コナカに入社。2012年にコナカの店長として神奈川県の店舗を4年間勤務。その後2016年から店長育成所でもある東戸塚総本店で、店長兼リージョナルマネージャーとして4年間勤務。2020年から商品部に配属し、現在フォーマル、コートのディストリビューターとバイヤー業務を担当。常に市場や消費者の動向、トレンドに目を向けることで、時流にあわせた商品の企画や生産に活かしています。その中で自分の感性を大事にしながらも、人と人との繋がりを大事にし、お客様の生活の一部として寄り添えるモノづくりを常に大切にしています。