普段とは違うスーツを試してみたい、こだわりのあるスーツを仕立てたいときにおすすめなのがダブルスーツです。ダブルスーツというと一昔前のスーツというイメージを持つ方もいるかもしれません。しかし、ファッションのトレンドがクラシックスタイルに回帰していることもあり、ダブルスーツへの注目度が高まりつつあります。この記事ではダブルスーツの魅力や選び方、コーディネート方法についてご紹介します。
ダブルスーツはボタンが二列に配列されたスーツのデザインのことです。シングルスーツに比べて一昔前のイメージのあるデザインですが、クラシックスタイルに回帰している着こなしのトレンド、ジャケットスタイルの人気の高まりを受けて、今ダブルスーツが再注目されています。
ダブルスーツの原型が生まれたのは19世紀中頃で、軍人用の軍服や乗馬用の衣装として作られました。
日本に入ってきたのはバブル期の1980年代です。重厚感や威圧的な印象を与えるデザインが好まれていました。しかし、時代が進むにつれて、古臭い、野暮ったいイメージを持つようになりました。
ブームから40年近く経ち、英国クラシックスタイルへの回帰がトレンドとなり、再び注目されるようになりました。ゆったりとしたシルエットがダブルスーツの特徴ですがデザインは現代風にアップデートされ、スリムなシルエットなど、自分の体型に合わせて着丈を調整するのがダブルスーツをオシャレに着こなすためのポイントです。
ダブルスーツをビジネスシーンで着用することで、普段と異なるエレガントさを演出できます。ビジネスに適した色柄としては、さまざまなシーンに対応できる無地がおすすめです。ビジネスはもちろん、カジュアルシーンでもダブルスーツは活躍します。ビジネスシーンでは懸念される柄物をあえて選ぶことで、カジュアルさを演出できます。
また、結婚式やパーティーでダブルスーツを着用すると、ほかの人との違いを生み出します。結婚式では派手すぎないシャドー系を選びましょう。パーティーではストライプなどを選ぶとスタイリッシュに決まります。重厚感のあるダブルスーツは葬式で着用しても問題ありません。黒い無地ではなく濃い漆黒、光沢がないものを選ぶとその場に合った仕上がりになります。
シングルスーツは前ボタンの配列が一列のスーツです。ビジネスやフォーマルなど多くのシーンで着用でき、ベストを着ると重厚感を演出できます。シングルスーツの由来は貴族の平服とされています。
対してダブルスーツは前ボタンの配列が二列のスーツです。身体を大きく見せる効果があり、重厚感や厳かな雰囲気を演出できます。面積が大きいため、カチッとした雰囲気が出やすいのが特徴です。由来は軍人の軍服であるため、威圧感のある印象を受けます。
ダブルスーツの魅力は以下のとおりです。
ダブルスーツの由来は軍服です。高官となると重厚感や威圧感を演出する必要があり、先の尖った衿の形やコンパクトなVゾーンは重厚な印象を発信するためのポイントとなっています。ダブルスーツには荘厳さを演出する要素が詰まっており、よりフォーマルな印象を与えられます。
英国クラシックスタイルへの回帰から、注目が高まりつつあるのがダブルスーツです。スタイリッシュなシングルスーツの方が一般的なため、ダブルスーツは人とかぶりにくく、個性を出したい人にはおすすめのスーツです。
重厚感が出やすいダブルスーツですが、タイトなシルエットや着こなしで上品な印象にもなります。目立つ存在でありながら、嫌味のないスタイルに仕上がります。
ダブルスーツは装飾性が高いため、ジャケット単体でも活用できます。色柄のジャケットを着こなせるようになれば、大人のオシャレを楽しめるはずです。たとえばボルドーやブラウンのジャケットにブラックのスラックスを合わせると、色気と上品さを感じられるスタイリングに仕上がります。現代はビジネスカジュアルが求められるシーンが増えており、ダブルスーツが活躍する場面は多くなっています。
現代風にスタイリッシュに仕上げたダブルスーツが人気です。スリムなシルエットを演出しつつも、ゆとりのある作りであるため体型をカバーしやすい、という特徴があります。シングルスーツを着るとダボついた印象になってしまっても、ダブルスーツに替えることでカチッとした印象が強くなり、上品さを醸し出します。
ダブルスーツのデザインはフォーマルな印象を強める効果があり、カジュアルなシーンではラフになりすぎない上品さを残します。ダブルスーツのジャケットならインパクトのあるデザインでも着こなせるため、シングルスーツでは敬遠されがちな柄や色にも挑戦しやすいはずです。
英国伝統のグレンチェックなどは、ダブルスーツの定番です。ジーンズやチノパンなどとも合わせやすく、着こなすのは難しくありません。
ダブルスーツの種類を紹介します。
左右3つずつ合計6つのボタンを配置し、一番下のボタンだけを留めるスタイルです。Vゾーンが広く少しルーズな着こなしになります。1つ留めだと衿が大きく見えるため、落ち着いた印象があります。ただし、カジュアルな意味合いがあり、シーンによっては不適切と捉えられることもあるため注意してください。
左右3つずつ合計6つのボタンを配置し、下2つのボタンを留めるスタンダードなスタイルです。Vゾーンが狭くなり重厚感のある印象に仕上がります。一番下のボタンは留めなくてもマナー違反には当たりません。ただし、フォーマルさが重視される場合は、一番下のボタンも留めるとマナー違反を避けられます。
左右2つずつ合計4つのボタンを配置し、下のボタンだけを留めるスタイルです。バブル期に流行した威圧感のあるダブルスーツにおいて ソフトな印象を持たせるスーツとして知られています。
1つ留めの場合、ボタンの位置が下がるため、Vゾーンが広くなりルーズな雰囲気になります。ダブル6ボタンの場合、小柄な方だと縦に並ぶボタンの間隔が狭くなりバランスが崩れるため、縦に並ぶボタンを2つにすることで、バランスのよい仕立てになります。
左右2つずつ合計4つのボタンを配置し、2つのボタン両方とも留めるスタイルです。1つ留めよりもVゾーンが狭くなりタイトな印象になります。
小柄だから、野暮ったい印象があるからとダブルスーツを避ける方もいますが、4ボタンは6ボタンに比べてスッキリした印象になるため、タイトなデザインがトレンドの現代においても違和感のないシルエットを演出できます。
シングルスーツかダブルスーツかに関わらず、スーツを着用する際におさえておきたいのはボタンに関するマナーです。全部のボタンを留める必要はない?どのボタンを留めれば良い?とボタンの悩みは多々あります。
シングルスーツの場合は一番下だけを留めないのが一般的です。ダブルスーツの場合は一番上だけを留めずに下二つを留める、一番上と下を留めずに真ん中のボタンだけを留めるパターンに分かれます。一番下のボタンはカジュアルな場面では留める必要はありません。
ただし、正式な場所や普段よりもフォーマルな装いが求められるシーンでは一番下のボタンも留めましょう。
ダブルスーツを選ぶときのポイントを紹介します。
シングルスーツを選ぶときと同じように、ダブルスーツもサイズ感に注意して選ぶようにしましょう。ダブルスーツというと体型を隠すためにゆったりとしたサイズを選ぶイメージがあるかもしれません。
もともとゆとりのあるデザインをさらに大きく着ると、ダボついて清潔感を得られない恐れがあります。自分の身体に合わせ、少しタイトでスマートなサイズ感がおすすめです。
ダブルスーツを着用したときのシルエットがカチッと仕上がるかどうかは着丈で決まります。着丈はヒップがやや隠れる長さを選びましょう。お尻と脚の境目が少し見えるくらいの長さにすると、現代風でオシャレなシルエットになります。
ダブルスーツのジャケットは面積が広く装飾性が高いため、上半身が大きく見えます。パンツをゆったりしたサイズで選ぶと上下とも大きくなり、ダボついた印象になるため注意してください。パンツはすっきりしたシルエットのものを選ぶとバランスの良い装いになります。また、最近では、渡幅はややゆとりを残し膝下から裾口にかけてテーパードになっているスーツも販売されているので、細身の方にも挑戦がしやすく、エレガントなスーツスタイルになります。
ラペルは衿のことで、ダブルスーツでは衿先が上方向に尖るピークドラペルが一般的です。衿の幅を細くすることで、現代風なスタイリッシュなイメージに仕上がります。ベントは背中側の切れ目のことで、腰回りが楽になる効果があります。
シングルスーツでは真ん中に切れ目のあるセンターベントを入れますが、ダブルスーツでは切れ目を入れないノーベントか、両脇に切れ目を入れるサイドベンツのいずれかを選びます。
ダブルスーツに合わせやすい小物を選ぶときのポイントを紹介します。
主張の強くない落ち着いたデザインがおすすめです。派手なネクタイを選ぶと、ダブルスーツの良さでもある重厚感や、フォーマルな印象と逆行してしまう恐れがあります。
ダブルスーツに合わせるワイシャツは袖口にこだわりを持つとオシャレ度がアップします。ジャケットの袖口から1cmほどワイシャツが見える長さを選びますが、ワイシャツの袖口を折り返して着用するダブルカフスやシャープな印象を与える角落ちカフスがあると印象が変わります。ディテールへのこだわりが見えて、ダブルスーツをよりエレガントに着こなせるはずです。
ベルトはスーツ着用時のマナーのひとつです。最近ではベルトレススタイルを見かけることもありますが、カジュアルな印象が強くなるため、ダブルスーツには合いません。革靴の色味に合わせたベルトを選びましょう。吊り上げのためにサスペンダーを用いる場合はベルトをしなくても大丈夫です。
ダブルスーツは重厚感がありインパクトの強いスーツです。スーツの色や柄が全体のデザインを大きく左右するため、シーンによって使い分けが欠かせません。
フォーマルなシーンでもカジュアルなシーンでも、使い勝手の良い無地を選びます。シルエットをタイトにすることでエレガントさを演出できます。スーツ・ワイシャツ・ネクタイを同系の色で揃え、重厚なイメージを崩さず上品さも印象づけましょう。
結婚式でダブルスーツを着用してもマナー違反にはなりません。主役は新郎新婦であるため、あまり派手すぎないデザインがおすすめです。シャドー系であれば艶やかなデザインがエレガントさを演出するも主張しすぎないスマートな仕上がりになります。
葬式でもダブルスーツの着用が可能です。一般的な黒色のスーツだと艶が出てしまうことがあるため、漆黒を選ぶことでシーンに合った装いになります。葬式の場で重厚感のあるイメージが合う40代以上の方におすすめです。
ダブルスーツには重厚でフォーマルな印象を演出する効果があります。現代のファッションに合わせたタイトめのシルエットを意識することでダブルスーツの懸念点である古臭さを払拭させ、上品さを醸し出してくれるはずです。普段と少し違う着こなしをしたいと考える際はぜひ参考にしてみてください。