スラックスとは?スーツや他のパンツとの違いと選び方を解説

24.04.18

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スラックスとは?スーツや他のパンツとの違いと選び方を解説

社会人として働き始めると、ビジネスで着用する服装をどうすれば良いか気になるものです。そして、スーツやスラックスを選ぶ際、それぞれの違いや特徴を理解していれば、自分に合った服装選びが可能です。

そこで本記事では、スラックスの特徴について解説します。スラックスと他のパンツとの違いも解説し、それぞれの服装がどのような場面で適しているのかも紹介します。今回の記事を読めば、ビジネスシーンにおけるスラックスの重要性を理解できるでしょう。

スラックスとは?

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スラックスはビジネスからカジュアルな日常でも着用される多様性のあるパンツです。スーツとのセットアップやジャケットと合わせて着用されていますが、そのコーディネートはさまざまです。

スラックスの着用は一昔前まではビジネスシーンが主でした。現在では、普段着としてもスラックスを着用する人が増えており、そのスタイリングも多種多様になっています。

スラックスの特徴

スラックスの言葉は英語の「Slack」が語源で、リラックスした、少しゆとりのあるなどの意味を持ちます。スラックスの素材はそれぞれが異なる特徴と魅力を持っています。

ウール製のスラックスは高級感と保温性があり、ビジネスの場でよく選ばれる素材です。

コットン製のスラックスは柔らかな肌触りとカジュアルな印象で、日常ウェアとして人気があります。

ポリエステル製のスラックスは耐久性と機能性があり、アクティブな場やどのような気候条件下でも活躍する点は大きなメリットです。

また、スラックスは一般的にパンツの前後の中央に「センタープレス」が施されています。センタープレスとは文字通り、パンツの中央から裾まで続く折り目を指します。

これは、ビジネスの場などで着用する際、より整った印象になるために重要な要素です。センタープレスは、スラックスのスタイリングに一役買うだけでなく、脚のラインをすっきりと見せる効果もあります。

スラックスの着用シーン

スラックスは優れたデザインと機能性から、ビジネスからカジュアルまでさまざまな場で活躍できる万能なアイテムです。ここでは、スラックスの具体的な着用シーンを紹介します。

『ビジネスカジュアル』『オフィスカジュアル』

スラックスはビジネスカジュアルやオフィスカジュアルのスタイルにおいて、重要な役割を果たします。なぜなら、スラックスがビジネスでもカジュアルでも適切なバランスを維持できるためです。

夏場に実施される「クールビズ」ではジャケットやネクタイの着用が必須ではなく、ワイシャツとスラックスのスタイルが確立されてきています。スラックスはそのスタイリッシュなデザインと快適性から、多くのビジネスパーソンに重宝されています。

さらに、スラックスは素材やカラーバリエーションが豊富であるため、シーズンや気候、その日の気分によって選択できるのも大きな魅力です。冬場は保温性の高いウール素材、夏場は涼しげなリネンやコットンを選ぶと、一年を通してスラックスの活用が可能になります。

しかし、ビジネスの場で着用する際は色合いに注意が必要です。派手な色は避け、落ち着いた色合いのスラックスを選びましょう。

『ジャケパンスタイル』

ジャケットとスラックスの組み合わせは、一見カジュアルに見えますが、着こなし方によってビジネスに限らずどのような場面でも対応できる堅実さを持っています。具体例として、レストランやフォーマルなシーンでは、ダークカラーのスラックスに明るめの色ジャケットを合わせれば、ドレスコードが必要な場所でも問題なく対応できるでしょう。

また、ジャケパンスタイルは自由度の高さから、個性を表現するのにも最適です。たとえば、ボタンダウンのシャツにニットのジャケット、そしてスラックスを合わせると、落ち着いた雰囲気をもちながらも「オシャレ感」を演出できるでしょう。

以上の点から、ジャケパンスタイルは幅広いシーンで活躍できるスタイルであり、汎用性と自由度の高さから多くに方々に愛用されています。

普段の『カジュアルスタイル』

ジャケパンスタイルを少し崩したカジュアルスタイルでも、スラックスの魅力を十分活かすことが可能です。たとえば、長袖のシャツにブルゾンを羽織り、スラックスを合わせると、すっきりとした印象を出せるでしょう。

これらの特性から、スラックスはカジュアルスタイルの中でも多様な表現が可能です。それは、日常生活をより豊かでスタイリッシュに彩り、日々のコーディネートに新たな楽しさをもたらします。

スラックスと他のパンツとの違い

スラックスの特性と着用シーンを先述しましたが、他のパンツとどのような違いがあるのでしょうか。ここでは、スラックス以外のパンツを紹介し、それぞれどのような場面で最適なのかを明確にします。

チノパンとの違い

チノパンはチノクロスと呼ばれる綿布で作られたパンツです。チノパンはもともと軍服用に開発されたもので、他のパンツよりも丈夫に作られています。そのため、チノパンはカジュアルな場やアクティブなライフスタイルに適しています。

チノパンの太いシルエットはカジュアルスタイルでは最適ですが、フォーマルなシーンにはあまり適していません。幅広いシーンでの活躍といった点ではスラックスに軍配が上がるでしょう。

チノパンと違い、多様なシーンで活躍できるスラックスは汎用性とバラエティからファッションアイテムとして多くの方々に支持されています。

デニムとの違い

デニムはフランスのニーム地方の織物「Serge de Nimes」が語源です。もともとは肉体労働者の作業着として使用されていました。ポケットを補強する金属がついているもの、ダメージ加工が施されているものもあり、デニムは若者を中心にファッションアイテムとして人気を博してきました。

近年ではパンツの前面中央に折り目のある「センタークリース」が入ったデニムが登場し、スラックス風の洗練された見た目を実現しています。しかし、スラックス風のデニムは一定のカジュアルさを含んでいるため、ビジネスの場にはなじみません。

このように、デニムとスラックスは異なる特徴と魅力を持つパンツです。それぞれのパンツがもっとも活きるシーンを理解し、適切な場面やコーディネートに合わせることで、より「オシャレ感」を演出できるでしょう。

スーツのパンツとの違い

スーツのパンツはジャケットとの色・素材・パターンが一致しており、ひとつのスタイルを作り出します。これは、フォーマルなビジネスシーンや結婚式など、特定の場面で一貫性と調和が求められる装いには最適です。

一方、スラックスは単品で販売されており、さまざまなジャケットやシャツとの組み合わせが可能です。ジャケットやシャツの選択により、スラックスはカジュアルでもフォーマルでもこなすことができます。

このように、スーツのパンツが上下セットでひとつのスタイルを形成するのに対し、スラックスは自由度の高いスタイリングが可能な点が大きな違いです。

失敗しないスラックスの選び方

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見た目の印象が大きく左右するスラックスを選ぶのは、一見すると難しく見えるかもしれません。そこで、失敗しないスラックスの選び方を5つの項目にわけて解説します。

【POINT1】体型にあったサイズを選ぶ

スラックス選びの最初のポイントは自分の体型に合ったサイズ選びです。見た目や着心地に大きな影響を与えるため、重要なポイントです。まず、ウエストの位置を正しい位置に合わせることが大切です。ウエストが高すぎると窮屈で、低すぎるとだらしない印象になります。腰回りは、腰骨に合わせるくらいが適切です。

次に裾の長さも重要視すべき部分です。「ワンクッション」「ハーフクッション」「ノークッション」と3種類の裾の長さがあります。

ワンクッションは裾部分が靴の甲にあたって折り目ができる長さで、全体的にゆったり感があるように見える長さです。

ハーフクッションは裾が靴の先端に少し当たる程度で、もっとも汎用性の高い長さといえます。ワンクッションに比べてスマートな印象に見える点から、多くの方々から支持されています。

一方、ノークッションは裾が靴に当たらず靴下が見える長さのため、ハーフクッションよりさらにカジュアルな印象になります。よって、ノークッションはビジネスやフォーマルの場には適しません。

【POINT2】タックの有無で選ぶ

タックとはパンツのウエストから下に入っている「ひだ」を指し、立体感やゆとりを持たせるためにつけられます。タックの有無で全体的なシルエットや着心地も変わってくるため、体型や着心地の好みに合わせて、タックのあるパンツを選ぶかどうか判断するとよいでしょう。

また、タックには「ノータック」「ワンタック」「ツータック」の3種類があります。

  • ノータック

タックが一切入っていないスラックスで、シャープなシルエットが特徴です。スリムな印象を出したい方、すっきりとしたスタイルを好む方に適しています。ノータックのスラックスは、タイトなトップスとの相性もよく、細身のシルエットを強調したいときに最適です。

  • ワンタック

ひとつの折り目が入っているスラックスを指し、程良いゆとり感があります。ビジネスシーンなどで上品さを出したい方におすすめです。ワンタックのスラックスはジャケットやドレッシーなシャツとの相性も良く、オフィスカジュアルなスタイルにも違和感なくなじみます。

  • ツータック

折り目が2か所入っているスラックスで、ゆったりとした見た目になります。リラックス感を重視したい方やビンテージスタイルを好む方にぴったりです。また、ツータックのスラックスはルーズなトップスやリラックスしたカジュアルスタイルにもマッチします。

以上の点を踏まえ、自分の好みや着こなしたいスタイルに合わせて、適切なタック数の選択が重要です。

【POINT3】生地の素材・柄で選ぶ

スラックスを選ぶ際、生地の素材と柄の見極めも大切です。周囲からの印象はもちろん、さまざまなシーンやスタイルに適した選択が可能になるためです。

素材は主に3種類あり、それぞれに特徴があります。

  • ウール製

高級感があり、保温性に優れている素材です。寒い季節に暖かさをキープし、上質な感触がビジネスやフォーマルな環境でエレガントな印象を強調します。

  • コットン製

肌触りがよく、ウール製に比べてカジュアルな印象になります。ビジネスに限らず、普段着の着用にも最適で、ソフトな表面感と自然な風合いがリラックスしたスタイルを強調します。

  • ポリエステル製

耐久性と機能性に優れ、アクティブな場に最適です。また、速乾性の高さもポリエステル製の強みとなっているため、頻繁に洗濯する必要がある夏場には適しています。

スラックスは柄についても選択肢が豊富です。無地、ストライプ、チェック柄など、さまざまなラインナップがあります。

  • 無地

汎用性が高く、どんなトップスとも合わせやすいため、ビジネスシーンからカジュアルなシーンまで幅広く活用できます。

  • ストライプ、チェック柄

より個性的なスタイルを好む方に適しています。ただし、ストライプやチェック柄は選び方次第で印象が大きく変わるため、トップスとのバランスや着こなしたいスタイルの確認が重要です。なお、デザインによってはビジネスの場にふさわしくない柄もあるため注意が必要です。

【POINT4】機能性をチェック

現代のファッションはさまざまな機能性が求められ、スラックスも例外ではありません。スラックスの便利な機能性は主に3種類あります。

  • ストレッチ性

スラックスが身体の動きに柔軟に対応し、ストレスなく自由に動ける素材です。長時間の着用でも快適さを維持でき、仕事やプライベートを問わずさまざまなシーンで活躍します。外出で動き回ることが多い職や就職活動の方々に重宝されている機能です。

  • 形状記憶

折り目がつきにくく、着用後もキレイな形状を維持できます。スラックスを長時間着用しても形を維持し、シワになりにくい特性を持っています。洗濯後にアイロンをかける手間がなくなるため、忙しいビジネスパーソンにとっては、ありがたい機能といえるでしょう。

  • 通気性

通気性のある素材は汗をかいてもすぐに乾く特性を持っています。夏場の着用や暖房の効いた室内での着用時に役立ちます。

スラックスを選ぶ際はこれらの機能を持つ商品をチェックし、それぞれのシーンに適したものを選別することが重要です。

【POINT5】ジャケットに合わせやすいカラーを選ぶ

スラックスのカラーはジャケットやワイシャツといった他の要素との組み合わせで、大きく印象を変えられます。

具体的な例をあげると、ネイビーのジャケットにはグレーのスラックスが合います。ネイビーは落ち着いた印象に見え、グレーはその落ち着きを引き立てつつ、全体の印象を明るくします。この組み合わせは、ビジネスカジュアルな場での鉄板コーディネートです。

また、ブラウンのジャケットにはグレーやカーキのスラックスが合います。ブラウンは温かみのある印象で、グレーやカーキのスラックスはその温かさを引き立て、全体の印象を柔らかくします。

このように、ジャケットに合わせてスラックスのカラーを選ぶことで全体のコーディネートがまとまり、スタイリッシュな印象を演出できるでしょう。

スラックスの正しいお手入れ方法

スラックスの品質を長持ちさせ、良い状態を保つためには正しいお手入れが重要です。ここでは、スラックスの基本的なお手入れ方法を紹介します。

  1. 着用後はブラッシング

着用後のブラッシングは汚れやホコリを取り除くための基本的なステップです。日常的に付着する微細なホコリや汚れがついたままだと、スラックスの生地が傷んでしまう恐れがあります。スラックスの生地が傷つかないよう優しくブラッシングをしましょう。

  • 専用ハンガーにかける

スラックスは専用のハンガーでの保管が最適です。通常のハンガーを使用するとシワがついたり、型崩れしたりする可能性があります。スラックスを吊るす際は専用ハンガーを使用しましょう。

  • 雨で濡れたら乾燥させる

スラックスが雨などで濡れた場合、すぐに乾燥させることが重要です。濡れたままだと生地の傷みや色落ちするかもしれません。なお、スラックスは風通しの良い場所に吊るして自然乾燥させましょう。直射日光にあてると変色の原因になるため、日陰に干すようにしてください。

  • 連続での着用は控える

スラックスは連続で着用すると生地に負担がかかり、早く傷んでしまう可能性があります。スラックスは1日着用したら翌日は別のものを着用すると、休息期間を設けられます。スラックスを何本か保有していれば、それぞれのスラックスの負担を分散できるためおすすめです。

スラックスの正しい保管方法

スラックスの正しい保管は日々の手入れと同じく品質を維持するために重要です。以下に、スラックスの正しい保管方法を説明します。

  1. ポケットの中身を出す

ポケットに物を入れたままにしておくと、その重みが生地に負担をかけ、形状を崩す可能性があります。また、ポケットの中に小銭や鍵といった硬い物体が入っていた場合、生地が破れたり傷ついたりするかもしれません。そのため、スラックスを保管する際は必ずポケットの中身を確認しましょう。

  • ハンガーにかける

スラックスを折りたたんで保管すると折り目がシワとなって残ってしまう可能性があるため、専用のハンガーにかけて保管します。

  • クローゼットに収納する

最後にクローゼットに収納します。スラックスは直射日光や湿度の高い場所に置くと色褪せたり、カビが生えたりする恐れがあります。そのため、直射日光の当たらない、湿度が低く通気性の良いクローゼットへの収納が望ましいです。

まとめ

本記事ではビジネスの場でも多く愛用されている「スラックス」について紹介しました。スラックスは汎用性の高さと幅広い数があり、ファッションアイテムとしても重宝されています。今回の情報を参考にして着用する場を考慮したスラックスを見つけ、コーディネートを楽しんでください。

この記事を書いた人

2002年に株式会社コナカに入社。2008年にスーツセレクトの店長として4年間勤務。その後東京地区、千葉地区の複数店舗を統括するエリアマネージャーとして10年勤務。その後2021年に商品本部に配属され、現在バイヤーとしてメンズジャケット、メンズパンツのバイヤー業務を担当。市場調査、ファッション関連の情報収集、お客様ニーズの調査を行い、商品企画や生産に活かしております。1人でも多くのお客様のご意見、店舗スタッフからの要望に応えられること、また自製品をご購入頂き喜んで頂けることを常に考え、製品の生産に励んでおります。