ファッションは個々の自己表現の一部であり、多くの方々が新しいスタイルを模索しています。なかでも注目したいアイテムが「テーラードジャケット」です。テーラードジャケットは、デザイン性と汎用性の高さから「オシャレ」を演出するアイテムとして人気があります。
本記事ではテーラードジャケットを網羅的に解説します。ジャケットの特徴やスーツとの違い、テーラードジャケットの魅力を余すことなく紹介します。ぜひ、この記事を参考に自分に最適なジャケットを発見し、周囲から一目置かれる存在を目指しましょう。
テーラードの語源は英語の「tailored」で、しっかりと仕立てられたとの意味を持ちます。この言葉からもわかるように、テーラードジャケットは精巧な仕立てとデザインが特徴的です。
テーラードジャケットの歴史は古く、19世紀のイギリスが発祥とされています。当時は紳士のカジュアルな衣服として位置づけられていました。しかし、ファッションの世界は常に進化を続けており、テーラードジャケットも用途が大きく変化していきます。
現代ではビジネスシーンのみならず、カジュアルなシーンでも広く用いられるようになりました。このように、テーラードジャケットは用途の多様性と特徴的なデザインから、「オシャレ感」を高めるアイテムとして人気があります。
活躍の幅の広いテーラードジャケットですが、ビジネスジャケットと呼ばれるスーツとどのような違いがあるのでしょうか。ここでは、2つの違いを4つの項目にわけて解説します。
スーツは基本的にジャケットとパンツが一緒になっているセット販売です。フォーマルなシーンでは統一感と一貫性が重視されるためです。これにより、全体のバランスと調和が保たれ、フォーマルな印象が演出できます。
一方、テーラードジャケットはスーツとは異なり、上着のみの単体販売が多いです。カジュアルなシーンやビジネスカジュアルなシーンでの着用を想定しているため、ジャケット自体のデザインや機能性が重視されています。そのため、パンツとの一貫性よりも、ジャケットのカラーやデザインがより重要な役割を果たしています。
スーツとテーラードジャケットの主な違いは、一組として販売されるスーツに対し、テーラードジャケットは単体で販売される点にあります。
スーツとテーラードジャケットは使われている素材にも違いがあります。スーツの主な素材はウーステッドと呼ばれるウールの繊維で織られた生地が使われています。ウーステッドは細かい繊維が密に織り込まれているため、滑らかな質感と光沢感が特徴です。高級感あふれる質感はスーツがフォーマルな印象になる理由のひとつです。
そして、テーラードジャケットでは光沢とツヤが少ない素材が多く使われます。具体的には、綿や麻、ツイード、フランネルなどの素材です。これらの素材は多様なデザインや色彩を表現するのに適しています。
このように、スーツとテーラードジャケットは使用される素材によって、特性と用途が大きく異なります。
スーツとテーラードジャケットは着丈の長さも違いのひとつです。
スーツの場合、ヒップが隠れる長さが基本です。全体的なバランスとスタイリッシュな印象をキープするには、最適な長さといえます。具体的には上着のボタンを留めた状態でヒップが隠れる着丈が好ましいでしょう。ただし、スーツの着丈が合っていなければ、パンツとのバランスや見た目の印象も大きく変わってしまうため注意が必要です。
テーラードジャケットの場合、ヒップが隠れない長さのスタイリッシュなデザインが多く存在します。これは、テーラードジャケットがカジュアルなシーンでの着用を目的に設計されているためです。テーラードジャケットはボタンを留めない前開きで着用することもあります。着丈の長さ以外にも、肩幅や袖丈も身体にフィットすることが「オシャレ感」を演出するポイントです。
スーツとテーラードジャケットにはシルエットとデザインに明確な違いが存在します。まず、スーツのジャケットには基本的に肩パッドが入っています。肩のラインを美しく見せ、立体感のあるシルエットを作り出すためです。
肩パッドは着用者の体型を補正し、より整った印象にする効果もあります。現代のスーツは分厚い肩パッドよりも薄い肩パッドが主流です。これは過度の補正を避け、自然体が求められているためです。
一方、テーラードジャケットには肩パットが入っていないものが近年では多くなってきました。テーラードジャケットはカジュアル感のあるシルエットと快適性を目指して設計されているためです。肩パッドがないことで自由な動きが可能となり、カジュアルな印象を強調します。
さらに、スーツとテーラードジャケットはポケットのデザインにもそれぞれ違いがあります。スーツはフラップポケットを採用しており、雨やゴミなどの「外敵」からポケットを守る上蓋がついているのが一般的です。対して、テーラードジャケットは、よりカジュアルな印象を出すために、外付けのアウトポケット仕様のものも多くあります。
どちらのポケットにもいえますが、無計画に物を入れすぎると重量によってポケットが下に落ちてしまい、シルエットが崩れる恐れがあります。ジャケットのシルエットをキレイに保つためにも、ポケットの使い方には注意しましょう。
テーラードジャケットは基本的にカジュアルスタイルで着用する上着です。多様な着こなしができる点から、多くの方々のオシャレアイテムとして愛用されています。たとえば、レストランでのシーンではブラックのジャケットにジーンズやチノパンと合わせるだけで、スタイリッシュな印象になります。
また、ビジネスシーンでは紺のジャケットやグレーのスラックス、白のワイシャツと合わせると、美しいシルエットがより一層引き立つでしょう。そして、ベストやネクタイ、シューズなどの組み合わせも「オシャレ上級者」を演出するうえで重要なアイテムとなるためおすすめです。
テーラードジャケットを購入するときは自分に合ったジャケットが分からず、あれこれ迷ってしまう方も多いでしょう。ここでは、テーラードジャケットを選ぶ際のポイントを6つにわけて解説します。
テーラードジャケットを選ぶときは試着を行い、自分の体型に適したサイズを確認することがとても重要です。自分の体型に合っていないジャケットを選ぶと見た目が美しくない、着心地の悪さ、動きにくさ、劣化が早まるといったデメリットがあるためです。
また、最近はインターネットで販売している店舗もありますが、こちらは推奨できません。多種多様な商品を比較しながら選べる点はメリットですが、オンラインショップでは試着ができないからです。そのため、テーラードジャケットの購入はインターネットではなく、店舗での購入をおすすめします。
店舗で購入する際に確認すべきポイントは以下の4点です。
テーラードジャケットを選ぶとき、はじめに考慮すべきは肩幅と身幅のサイズ感です。肩幅が大きすぎると肩が落ちてしまうため「だらしない」印象に見られがちです。しかし、肩幅がちょうど良いサイズであれば、身体のラインにフィットするためスマートな印象となるでしょう。
また、身幅についても同じく注意が必要です。身幅が大きすぎると、どうしてもウエストが太めに見えてしまいます。しかし、自分の体型に合った身幅であれば、身体のラインがキレイに見え、バランスの取れた体型の印象になります。
着丈はジャケットを美しく見せる重要な要素です。そのため、適切な着丈の見極めはジャケットを選ぶ際に重要なポイントといえます。まず、前方から見た場合の着丈はジャケットの裾がパンツのチャック半分見える程度が理想です。
この長さを確保することで、上下のバランスが保たれスマートな印象になります。反対に、パンツのチャックがすべて隠れてしまうと、かえって体型が寸胴に見えてしまうかもしれません。
また、着丈は前方だけではなく後方からの見た目も重要です。ヒップが完全に見えない長さでは全体のプロポーションが崩れてしまい、体型が不均衡に見えてしまう可能性があります。一方、おすすめの長さはヒップのポケットが少し隠れる程度とされています。
ジャケットの胸まわりはフロントボタンを留めた状態で「にぎり拳」がひとつ入る程度がよいサイズ感です。胸まわりが窮屈すぎると、衿が浮いてしまう可能性があります。胸まわりに余裕がないサイズはジャケットの美しいラインを崩す要因となり、全体の印象を悪くしてしまうため注意しましょう。
袖の長さはジャケット全体の印象に大きく影響します。一般的に、腕を下ろし、ジャケットの袖口からワイシャツが約1〜1.5cm程度見えるのが理想的とされています。しかし、袖先が長すぎるとワイシャツがまったく出ない状態になるため、全体のバランスが崩れて見えてしまうことがあります。反対に、袖丈が短すぎるとワイシャツが過度に露出し、全体のバランスが崩れてしまって不恰好になります。
ビジネスシーンに限らず、多くのシーンで着まわしができるジャケットなら、無地のダークカラーがおすすめです。理由は、あらゆるコーディネートに対応可能な色合いだからです。
ダークグレーのジャケットや白いワイシャツ、ライトグレーかブラックパンツといったコーディネートをおすすめします。また、ダークカラーのジャケットは他のアイテムとのバランスを崩さないため、全体のコーディネートが引き立つ効果もあります。
このように、さまざまなコーディネートに適応できる特性から、1着目の購入は無地のダークカラーを選ぶとよいでしょう。
春夏のシーズンはライトカラーのテーラードジャケットがおすすめです。ダークカラーに比べてカジュアルなシーンに適しているためです。
一例として、ライトブルーのテーラードジャケットは海辺でのパーティーや屋外でのレジャーなど、友人と楽しめる環境に最適な装いです。また、パステルカラーのジャケットであれば、春の桜や夏のヒマワリなど自然との調和を楽しむアウトドアイベントにもぴったりです。
テーラードジャケットを選ぶ際は季節に適した素材を選ぶことで、一年を通じて快適に着用できます。ウール素材は保温性と通気性の高さからオールシーズン対応できる優秀な素材です。
春から夏にかけては、軽くて通気性の良い素材が求められます。気温の上がる季節では、コットンやリネンのような素材が適しています。暖かい季節でも快適に過ごせる点は、他の素材にはない大きな特徴です。ただし、どれだけ「オシャレ」に気をつけていても、季節感がない服装ではせっかくのオシャレも台無しです。そのため、季節に適した素材を選ぶようにしましょう。
テーラードジャケットの衿型は主に2種類あります。それぞれが異なる印象になるため、自分の好みや目的に合わせて適切な形の選択が大切です。
一つ目は「ノッチドラペル」といい、衿の中央に切れ込みが入った衿型です。シャープでスマートな印象の形状のため、ビジネスシーンから冠婚葬祭まで、幅広いシーンに対応できます。
二つ目は「ピークドラペル」といい、衿先が上に向かって尖っている形状の衿型です。ダブルブレストのジャケットやフォーマルスーツに多く見られるため、エレガントさや力強さを強調したいときにおすすめです。
テーラードジャケットを選ぶうえで、大きな判断材料となるのが光沢(ツヤ)の有無です。フォーマルとカジュアルの境界線を決定づける光沢は、その場の雰囲気に溶け込む力を持っています。
たとえば、プライベートでテーラードジャケットを着用する場合、光沢があるジャケットを着用すれば、堅苦しい装いに見えてしまい場の雰囲気と合わないかもしれません。
反面、ビジネスシーンでは、光沢のあるジャケットがその場のフォーマリティを高める効果があります。光沢があればジャケットが上質で高級感のあるイメージとなり、ビジネスパーソンとしての信頼感を高められるでしょう。
以上の点から、テーラードジャケットを購入する際は、どのような場面で着用するのかを考慮してから決めると良いでしょう。
この記事では、スーツのジャケットとテーラードジャケットの違いについて解説しました。
テーラードジャケットはビジネスシーンに限らず、さまざまな場面で「オシャレ」に着こなせることから、幅広い層から人気のアイテムです。記事を参考にして、ご自身に最適なジャケットを見つけてください。